甲州の地口 あ行
■地口集
あ / か / さ / た / な / は / ま・や
あ行
空き家の雪隠 |
声がない |
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雪隠とは便所のこと 空き家は人がいない 当然便所には人肥が溜まらない
【肥(人の排泄物)がない】 |
(例) |
集会などど意見や発言を求めても誰一人出ない時
『これじゃ空き家の雪隠で会がすすまんじゃん』
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足の裏の飯粒 |
何か気がかりなことがあってもいつまでも気がハッキリしない |
(例) |
『就活の結果通知の返事がくるか足の裏の飯粒だ』
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雨降り日の太鼓 |
どうにもならない |
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叩けば大きな音がして響く太鼓も雨の日には皮が弛んでピンした音がしない
おまけに胴の部分にも音が響かないので【胴も鳴らない】 |
(例) |
『いくら教えても不器用だか雨降り日の太鼓だ』
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蟻の行列 |
長く続く 長々と続く |
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働き者の蟻が働く時に長い行列をつくることを捉えた地口 |
(例) |
『もっと要領よく話をしてもらわないと これじゃ蟻の行列でわからん』
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鋳掛屋の天秤棒 |
でしゃばり |
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鋳掛屋道具を担いで町の家々を廻り鍋や釜の修理をする鋳掛屋の天秤棒は火を運ぶので長い
狭い路地裏をあちこち触れて通行人の邪魔になり敬遠される
これを捉え【何事も他人を押し退けて前に出たがる人】
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イタチのくしゃみ |
何事もキチンとやり通す |
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イタチのくしゃみはキチンキチンと聞こえることを捉えた地口 |
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田舎の脱穀機 |
言いたいことを勝手に言う |
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稲をコクことと甲州弁でものを言う【こく】とを掛けた地口 |
(例)
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【あいつは田舎の脱穀機でコクにはコクじゃん】
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イナゴの小便 |
たいしたものだ |
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イナゴは田を飛びながら小便をする【田へしたもんだ】
優れた知能や技術を備えた人を褒め称える場合に使う |
(例) |
【なんていったってあの人はイナゴの小便さ】
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芋の葉の露 |
信念のない うわついている人の揶揄 |
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里芋の葉の露が葉の上をコロコロと動く状態を 人の心になぞった地口 |
(例) |
【あの人は芋の葉の露で言うことが次々と変わるね】
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氏神さんの祭り |
もちあげる |
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氏神とは人がこの世に生まれ出た土地の神(産土神)
この氏神の祭礼の際の供物に餅を献上する【餅をあげる】 |
(例) |
【あいつは気のいい奴だから少し氏神さんの祭りにすればいい】
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馬の居眠り |
道をそらす |
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馬の背に乗ってゆったり旅している途中 歩き疲れた馬がコックリコックリと居眠りを始め
道をそらしたのでオイオイと手綱を引くとまた真っ直ぐに歩き出すことを捉えた地口 |
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馬の子宮 |
大至急 |
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馬の大きな図体から想像するに子宮も大きいだろう【大子宮】 |
(例) |
『急ぎの仕事だから馬の子宮でお願いします』
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産みたての卵 |
いい気味だ・気味がいい |
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新鮮第一の卵 産みたての卵は割ると黄身が艶々していて【いい黄身だ・黄身がいい】 |
(例) |
『あいつ最近調子づいてたから産みたての卵だ』
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お猿の小便 |
気にかける |
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野生の猿には理性がない その猿が木から木に渡る時に小便を放出する様子を捉えた地口【木にする】 |
(例) |
『まあそれほどの事はお猿の小便だな なんとかなるさ』
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お寺の引っ越し |
量がいかない |
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寺の移転は本堂や庫裏だけでなく墓地も移さなけらばならない
檀家の苦情や反対もあってなかなか思うようにいかない【墓がいかない】
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おぼこさんの小便 |
詳しい |
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おぼこさんとは甲州弁で蚕のこと
うず高く積まれた桑の葉を食べながら蚕が小便をする
桑にシーを漏らす【桑シー】 |
(例) |
『あいつは家電のことはおぼこさんの小便だ』
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お宮の鈴 |
ガラガラ(の状態) |
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お宮の拝殿の前の賽銭箱と大きな鈴 この鈴の音ガラガラを捉えた地口 |
(例) |
『せっかくの演奏会なのにお宮の鈴で残念』
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